こんにちは。郡山市の不動産会社「アイエス宅建」の鈴木です。
「火事があった家でも売れるの?」「売るときには何を伝えれば良いの?」と心配される方は少なくありません。
結論から申し上げますと火事があった家を売却することは可能ですが、火事の規模や状況に応じて、売却時に配慮すべき点が多くあります。
今回のコラムでは、火事があった家を売却する際に知っておきたい注意点や価格への影響、そしてスムーズに売るための方法をご紹介します。
火災物件の売却でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
火事があった家は売却できる?
過去に火事があった家でも、法律上で売却が禁じられているわけではないため、売却は可能です。
しかし、被害の規模によっては、売却時の配慮が必要になったり、価格に大きな影響が出たりすることを理解しておきましょう。
火災の事実は心理的瑕疵になる可能性がある
火事があった家は「心理的瑕疵」を持つ物件として扱われ、買主様への告知義務が発生します。
心理的瑕疵とは、物件に物理的な欠陥はないものの、多くの人が「住むのに抵抗を感じる」と思うような要因のことです。
自殺や事件、そして火災による死亡事故などは、心理的瑕疵に該当する典型例です。
なお、「事故物件」と呼ばれるのは、重大な心理的瑕疵のある物件のこと。
例えば、過去に大きな火災があり人が亡くなった物件は事故物件として扱われることが多く、購入希望者が心理的に敬遠する傾向があります。
そのため、事故物件は一般的な中古住宅と比べて需要が限定的になり、売却価格も大幅に下落する傾向にあります。
ボヤ程度の火事や、火災の痕跡が残っていないようなケースは問題ないかというと、そういうわけでもありません。
「心理的に気になる」と感じる人は一定数いらっしゃいます。
被害が軽微であっても、売却にあたっては火災の事実を不動産会社に伝えた上で対応を相談しましょう。
火事があった家を売却する際の価格と相場
一般的に、火災があった住宅の売却価格は、通常の相場価格の20~30%程度下落すると考えられています。
ただし、被害の規模、修繕状況、心理的影響などの要素によっても大きく変動します。
ボヤ程度で被害が少なく、適切に修繕されていれば影響は最低限に抑えられるでしょうし、大規模な火災で全焼したり死者が出たりした場合は相場の50%程度まで下落することもあります。
修繕と解体、どちらが良い?
建物の損傷が軽度で人的被害もないのであれば、心理的な影響も少ないため、火災保険を活用して修繕やリフォームを行い、そのまま活用したり売却したりすることもできるでしょう。
ただし、修繕後も火災の事実については告知義務が残ります。
一方で、建物の損傷が大きい、けが人や死亡者が出たという場合には、事故物件として心理的な影響が大きいこともあり、建物を修繕しても価格が戻らない可能性もあります。
建物を解体して更地として売却したほうがスムーズに進むケースが多いでしょう。
解体には費用がかかりますが、更地にすることで買主様の心理的抵抗を軽減できるメリットがあります。
建物を残したまま売却する場合と更地にして売却する場合、どちらが有利かは立地条件や土地の価値によって異なります。
こちらのコラムでも詳しくご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
古家付き土地と更地渡しとは?メリット・デメリットや選び方を解説
火災後の家を高く・スムーズに売却するための方法
火事があった家でも、適切な価格設定と売却戦略で買い手を見つけられる可能性があります。
特に立地条件が良い場合や、火災の被害が軽微で適切に修繕されている場合は、相場に近い価格での売却も期待できるでしょう。
ここからは、火事があった家をスムーズに売却するための方法についてご紹介します。
売却方法の選択肢
火災物件の売却方法には、いくつか選択肢があります。
火災後の家の状態や、売主様の希望によって、最適な売却方法は異なります。
現状のまま売却(土地としての売却)
火災による損傷が大きく、建物の再利用が難しい場合や、解体費用をかけられない場合の選択肢です。
買主様には土地として購入してもらい、後から買主様が更地にして新しい建物を建てることを想定した方法です。
この場合、建物の価値はほぼゼロとみなされるため、土地の価値が売却価格に大きく影響します。
解体費用やリフォーム費用がかからないため、初期費用を抑えられるのがメリット。
デメリットは、建物があることで土地としての魅力が伝わりにくい場合があること。
また、再建築不可などの規制がある場合は購入希望者が限られてしまうため、より売却の難易度が上がります。
解体して更地で売却
火災で建物が損壊している場合に、売主様側で建物を解体し、更地にしてから売却する方法です。
更地であれば、買主様はすぐに建築プランを立てられるため、購入へのハードルが下がります。
買い手がつきやすく、土地の価値を最大限に引き出しやすいのがメリットです。
デメリットとしては、解体費用が発生すること、解体期間が必要となるため、売却までに時間がかかる場合があること、売却に時間がかかると固定資産税の負担が大きいことなどが挙げられます。
「空き家になっている実家の解体費用は?節約するコツも紹介」では、解体費用の詳細について解説していますので、判断材料としてご活用ください。
リフォーム・リノベーションして売却
火災による損傷が部分的な場合や、建物の構造自体に大きな問題がない場合に検討できる方法です。
損傷箇所を修繕し、必要に応じてリフォーム・リノベーションを行うことで、建物の価値を高めて売却します。
メリットは、建物の価値が回復し、通常の戸建住宅として売却できるため、相場に近い価格での売却が期待できること。
デメリットは、リフォーム費用が高額になる可能性があることや、リフォーム期間が必要となることです。
また、リフォーム後であっても、火災による影響が後から判明する可能性もゼロではありません。
売却時には、買主様に対して物件の状況を正直に伝え、売買契約書に特約を盛り込むなど、トラブルを避けるための対策を行いましょう。
なお、火災保険に加入している場合、火災による損害に対して保険金が支払われます。
この保険金を解体費用やリフォーム費用に充てることで、自己負担を軽減できます。
買取による売却
不動産会社に直接売却する方法です。
価格は仲介より低くなりますが、確実かつスピーディーな売却が可能で、修繕費用をかけずにそのままの状態で売却できるメリットがあります。
火事のあった家を売却する際のポイント
どの売却方法を選ぶ場合も、最低でも3社以上の不動産会社から査定を取り、比較検討することをおすすめします。
査定額だけでなく、担当者の対応や提案内容、販売戦略なども比較し、信頼できる会社を選びましょう。
また、売却前にはホームインスペクション(住宅診断)を受けることで、買主様の「建物の安全性は大丈夫なのか」という不安を軽減できます。
専門家による客観的な診断結果があれば、買主様の安心感につながり、価格交渉での値引き幅を抑える効果も期待できるでしょう。
火事があった家を売却する際の注意点もチェック!
火災があった家を売却する際には、いくつかの特有の注意点があります。
罹災証明書の取得
火災が発生したら、管轄の消防署で「罹災証明書」を取得しましょう。
これは火災による被害を公的に証明する書類であり、火災保険の請求や、固定資産税の減免などに必要となります。
売却時にも、買主様への説明資料として活用できます。
告知義務の履行
火災の事実や、それによる建物の損壊状況については、買主様に対して正確に告知する義務があります。
適切に告知しなかったり、隠したりした場合、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を問われる可能性があります。
良い点だけでなく、悪い点も正直に伝えることが、信頼関係を築き、スムーズな売却につながります。
残置物の撤去
売却する前に、火災によって残った焼け焦げた残置物や、使用可能な家具なども含め、全て撤去し、清掃を行いましょう。
特に火災の場合は、ススや焦げ付きのにおいが残っていることもあります。
できる限りきれいにすることで、買主様への印象が良くなります。
固定資産税の減免措置
火災により建物が損壊した場合、固定資産税の減免措置が受けられる場合があります。
火災があった家の売却では、売却活動が長引いたり、解体に費用がかかることもあります。
少しでも住宅にかかる負担を軽減できるなら活用しましょう。
市町村役場の税務課に問い合わせて確認してみてください。
火事があった家も売却可能!火事の程度によって売却方法は検討を
火事があった家も売却することは可能です。
重要なのは適切な価格設定と売却戦略、そして火災の事実を隠さずに正直に告知し、物件の状況に応じた最適な売却方法を選択することです。
火事の程度や立地、物件の状態などによって、適する売却方法は異なります。
ホームインスペクションを受けるといった、専門家による客観的な意見を取り入れるのもおすすめです。
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