こんにちは。郡山市の不動産会社「アイエス宅建」の鈴木です。
土地売却では、「適正な売却価格はいくらだろう?」と悩まれると思います。
そんなときに参考となる指標の一つが「公示価格」です。
しかし、「公示価格って何?」「実際の売却価格とどう関係するの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、土地売却で理解が欠かせない公示価格について、基本的な仕組みから計算方法、注意点まで詳しく解説します。
公示価格を理解することで、より適正な価格での土地売却を実現できるでしょう。
土地売却における公示価格とは?
公示価格とは、国や自治体が一定の基準に基づいて毎年決定・発表している土地の価格です。
売主様・買主様の希望や事情を排除し、その土地が持つ本来の価値を表した「正常価格」として位置づけられています。
建物が建っているかどうかは関係なく、土地単体の価格として1㎡あたりの金額が示されています。
つまり、公示価格は「早く売りたいから安くしても良い」「高くても良いからどうしてもその土地が欲しい」などの事情を考慮せず、公正な市場取引が行われた場合の適正価格。
土地売却においては、この公示価格を参考に査定額の妥当性を確認したり、売り出し価格を検討したりする際の重要な判断材料として活用されています。
2つの公示価格とそのほか3つの土地価格の指標
公示価格には、発表機関や基準日が異なる2つの価格「地価公示価格」「基準地価」があります。
そして、土地の価格を示す指標は「一物五価」と呼ばれ、2つの公示価格を含む主に5つの価格指標が存在します。
地価公示価格
国土交通省が「標準地」を対象に、毎年1月1日を基準日として調査し、3月に発表する土地価格です。
基準地価
各都道府県が主体となって調査する土地価格で、「基準地」を対象に毎年7月1日を基準日として調査し、9月に発表されます。
「地価公示価格」と「基準価格」はどちらも不動産鑑定士が周辺の取引事例、土地の収益性、土地の特性(立地、形状、接道状況など)を総合的に分析して鑑定し、国土交通省や都道府県が審査・決定します。
地価公示価格は都市部を中心とした価格把握に、基準地価は地方部も含めた幅広い地域の価格把握に重点を置いています。
実勢価格
実際の不動産取引で成立した価格です。
市場の需給バランスや当事者の事情が反映された実際の取引価格で、公示価格の1.1〜1.2倍程度が目安です。
路線価(相続税路線価)
国税庁が相続税や贈与税の計算に使用する価格で、公示価格の8割程度に設定されています。
固定資産税評価額
市町村が固定資産税の計算に使用する価格で、公示価格の7割程度となっています。
これらの価格はそれぞれ異なる目的で設定されており、用途に応じた使い分けが必要です。
公示価格はあくまで「土地そのものの価値」の目安であり、これを基準として、ほかの価格との違いを理解しながら活用していきます。
土地売却で活用する公示価格の調べ方と計算方法
土地の公示価格は、国土交通省の「標準地・基準地検索システム」で誰でも簡単に調べることができます。
住所や地図から調べたい地域を選択すると、そのエリア周辺に設定された「標準地」の価格が表示されます。
公示価格は1㎡あたりの価格のため、単価に実際の土地面積をかけることでその土地の公示価格ベースでの評価額を算出できます。
■公示価格ベースの評価額 = 公示価格(円/㎡) × 土地面積(㎡)
例えば、公示価格15万円の地域に300㎡の土地がある場合は、15万円×300㎡=4,500万円で、公示価格ベースでの評価額の目安は4,500万円となります。
また、公示価格をもとに、実勢価格の目安を知ることもできます。
実勢価格は、一般的に公示価格の1.1〜1.2倍程度になることが多いとされているため、以下の計算式で算出できます。
■実勢価格の目安 = 公示価格(円/㎡) × 土地面積 (㎡)× 1.1(または1.2)
先ほどの公示価格15万円・300㎡の土地の場合、15万円×300㎡×1.1(または1.2)で、実勢価格の目安は4,950万~5,400万円と計算できます。
ただし、これはあくまで目安で、立地や接道状況、土地形状などにより価格は大きく変動します。
より正確な価格を知りたい場合は、不動産会社による査定を受けることをおすすめします。
査定では公示価格だけでなく、最新の取引事例や市場動向も考慮された価格を知ることができます。
土地の適正価格をより詳しく知りたい方は、「不動産査定の計算方法を知ろう。査定の種類や注意点もご紹介」もあわせてご覧ください。
査定の仕組みや注意点について詳しく解説しています。
地域や用途によって公示価格は異なる
公示価格は、地域やその土地の用途によって大きく異なります。
都市中心部の商業地では1㎡あたり数百万円になることもある一方、地方の住宅地では数万円というケースもあります。
さらに、同じ市区町村内でも、駅からの距離や周辺施設、道路幅などにより価格に差が生まれます。
住宅地、商業地、工業地といった用途地域の違いも公示価格に影響し、一般的に商業地は住宅地よりも高く、工業地は相対的に低めの価格設定となる傾向があります。
土地売却で公示価格を参考にするときの注意点
土地売却時に公示価格を参考にする際は、以下の点にご注意ください。
公示価格が設定されていないエリアもある
全ての土地に対して公示価格があるわけではありません。
標準地として設定される地点は限られているため、特に人口の少ない地域や山林地帯などでは、近隣の標準地が見当たらないケースもあります。
そのような場合は、最も近い標準地の公示価格を参考にしつつ、立地条件の違いを考慮して価格を推定する必要があります。
タイミングによって価格にズレが生じる可能性がある
地価公示価格は1月1日時点、基準地価は7月1日時点の評価となります。
社会情勢や周辺環境の変化が発生した場合、それが価格に反映されるまでにタイムラグが生じます。
例えば、基準日以降に新しい駅が開業したり、大型商業施設が建設されたりした場合、その影響は次の公示価格まで反映されません。
また、災害や事件、感染症の影響など、地価に大きな影響を与える出来事が発生した場合も同様です。
公示価格は土地の基本的な価値を把握する参考資料として活用し、実際の売却価格を決める際は最新の市場動向も考慮する必要があります。
ほかの価格情報とあわせて活用する
土地の価格を判断する際は、公示価格に加え、以下のような情報も活用することでより実態に近い価格が把握できます。
- 不動産会社の無料査定
- 固定資産税評価額
- 国土交通省の「不動産取引価格情報検索」などで確認できる過去の取引データ
公示価格以外にもこういった方法で土地の価格を調べることができ、これらの複数の方法を組み合わせることで、より正確な土地の価値を把握することが可能になります。
安易な自己判断は避ける
公示価格は土地取引の目安となる重要な情報ですが、公示価格のみを根拠に自己判断で不動産の価値を決めつけてしまうのは避けましょう。
公示価格はあくまで特定の時点における標準的な土地の価格であり、個別の物件にはさまざまな要因が影響します。
先ほども新駅の開業や災害の発生などが価格に影響を与えることをご紹介しましたが、ほかにも例えば、以下のような要素は公示価格には直接反映されません。
- 物件の個別性:土地の形状、高低差、日当たり、接道状況、私道の有無など
- 建物の状況:建物がある場合は、築年数、構造、設備、維持管理状況など
- 法的規制:建築基準法や都市計画法に基づくさまざまな制限(建ぺい率、容積率、高さ制限など)
これらの複雑な要素を総合的に判断し、適正な価格を把握するためには、不動産会社に相談するのが安心です。
不動産会社は、公示価格だけでなく、周辺の取引事例、地域の特性、将来性なども考慮し、より精度の高い査定を行うことができます。
自己判断で土地の価値を決めつけてしまうと、売却の機会を失ってしまう可能性があります。
土地の売却を考える際は、専門家と一緒に対応を考えていくのがおすすめです。
土地売却の公示価格は目安!専門家に相談を
土地売却を進める上で、公示価格は価格設定の重要な判断材料となります。
公示価格は、国や自治体が公正な基準で発表する土地の「正常価格」で、査定額の妥当性を判断する際に活用されます。
公示価格には地価公示価格と基準地価の2つがあり、そのほか実勢価格・路線価・固定資産税評価額などのほかの指標とも比較しながら、より正確に価格を把握していきます。
公示価格と実際の市場価格の違いを理解した上で、最新情報をもとに慎重に売却価格を検討しましょう。
ただし、公開されている情報で得られるのはあくまでも目安。
実情をふまえた精度の高い査定を希望するなら、不動産会社などの専門家に依頼するのがおすすめです。
郡山市で不動産売却をお考えなら、不動産会社「アイエス宅建」にご相談ください。
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