こんにちは。郡山市の不動産会社「アイエス宅建」の鈴木です。
「広い土地を売りたいが、全てを手放したいわけではない」「お隣さんに一部だけ譲ってほしいと言われた」「資金が必要になった」など、さまざまな理由で土地の一部売却を検討される方もいるのではないでしょうか。
土地の一部だけを売却することは可能なのですが、そのためには適切な手続きが必要です。
今回のコラムでは、土地の一部を売るのに必要な手続きや注意点を詳しく解説していきます。
スムーズな取引のためのポイントをしっかり押さえていきましょう。
土地の一部を売る場合は「分筆」しよう
土地の一部だけを売ることは可能です。
一般的に、その際には「分筆(ぶんぴつ)」という手続きをとります。
分筆とは、一つの土地を登記上で複数の土地に分けることです。
この手続きにより、元の土地は法律的に複数の独立した土地としてそれぞれに新しい地番が付与され、別々の不動産として扱われます。
例えば、「〇〇町1番地」という一つの土地を分筆すると、「〇〇町1番地」と「〇〇町1番地の2」といった別々の地番を持つ独立した土地になるのです。
分筆後は、それぞれの土地を個別に売買できるようになります。
逆に、隣接する複数の土地を一つの土地にまとめることは「合筆(ごうひつ・がっぴつ)」といいます。
持分売却との違い
土地の一部を売る方法には、ほかに「持分売却」という方法もあります。
これは土地の一部を物理的に分けるのではなく、所有権の一部(持分)だけを売る方法です。
持分売却の場合、土地は買主様と売主様の共有財産となります。
しかし共有状態では、利用方法について所有者全員の合意が必要なため、建物の建設や解体、用途変更などの際に所有者間で意見が分かれると思った通りの使い方ができません。
また、そのようなトラブルが懸念されることから共有の土地は買い手がつきにくく、将来的な売却も難しくなるというデメリットがあります。
したがって、土地の一部を売却する際は、分筆によって完全に独立した土地として売却するのが安全で確実な方法といえるでしょう。
分筆して土地の一部を売る流れ
では具体的に、分筆から売却までの流れを見ていきましょう。
分筆手続きは専門的な知識が必要なため、多くの場合は専門家に依頼することになります。
事前準備:必要書類を集める
まずは分筆のための事前準備として、以下の書類を集めます。
- 公図:土地の位置や形状を示した図面
- 登記事項証明書:土地の所有者や面積などの情報
- 地積測量図:土地の正確な測量結果を示した図面
これらの書類は法務局で取得します。
地積測量図がない場合は、新たに測量を行う必要があります。
ステップ1:専門家に相談する
分筆作業の第一歩は、土地家屋調査士への相談です。
土地家屋調査士は土地の測量や境界確定、分筆登記などを専門とする資格者です。
不動産会社に相談して紹介してもらうこともできます。
まずは現地調査や書類確認を通じて、分筆が可能かどうか、どのような手続きが必要かを確認しましょう。
なお、費用については、分筆登記だけなら5〜10万円程度ですが、測量が必要な場合は50万円以上かかることもあります。
土地の状況や面積によって費用は大きく変わりますので、事前に見積もりを取っておくことをおすすめします。
ステップ2:分筆の内容を決定する
土地をどのように分けるか計画を立てます。
ただ単に面積で半分に分けるのではなく、分筆後の土地の形状や利用価値を考慮した計画を作ることが大切です。
ステップ3:境界確認と測量を行う
分筆プランが決まったら、実際に測量を行います。
まず土地の境界を確認し、必要に応じて隣地所有者の立ち会いのもと、境界を確定。
その後、専門機器を使って精密な測量を行い、分筆後の土地の形状や面積を正確に算出します。
この測量データをもとに地積測量図が作成されます。
場合によっては、道路管理者や水路管理者など、行政機関の立ち会いが必要になることもあるでしょう。
ステップ4:分筆登記を行う
測量を行い、必要書類をそろえたら、法務局に分筆登記を申請します。
通常は土地家屋調査士が代行してくれます。
登記に必要な主な書類は以下の通りです。
- 登記申請書
- 境界確認書類
- 地積測量図
- 委任状
登記申請から完了までは通常1週間~2週間程度です。
登記が完了すると、新しく分筆された土地それぞれに登記識別情報が発行されます。
なお、分筆登記にかかる登録免許税は1筆につき1,000円。
1つの土地を2つに分筆するのは、2筆の登記を行うので2,000円になります。
ステップ5:売却活動を開始する
分筆登記が完了したら、いよいよ売却活動の開始です。
分筆したことで独立した土地となりますので、ここからは通常の不動産売却と同じ流れで進めることができます。
- 不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を結ぶ
- 販売活動を行い購入希望者を見つける
- 不動産売買契約を結ぶ
- 決済を確認し土地を引き渡す
なお、広大な土地を所有している場合は、「広い土地を売却したい!売却が難しいといわれる理由や売却方法をご紹介」もぜひご覧ください。
広い土地特有の課題や対策について詳しく解説しています。
土地の一部を売るために分筆する際の注意点
土地を分筆して売却する際は、次のような点に特に注意しましょう。
これらの点を事前に確認しておかないと、分筆後に「この土地では建物が建てられない」「価値が大幅に下がる」といった問題が生じる可能性があります。
注意点1:接道義務を満たせるか
建築基準法により、建物を建てるための土地は原則として幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない「接道義務」があります。
分筆によって、どちらかの土地が接道義務を満たさなくなると、その土地には建物が建てられなくなり、価値が大きく下がってしまいます。
分筆プランを考える際は、分筆後の全ての土地が接道義務を満たせるよう計画する必要があります。
注意点2:分筆制限がないか
全ての土地が自由に分筆できるわけではありません。
次のような場合は分筆が制限される可能性があります。
- 地域の条例で最低面積が定められている
- 農地法による制限がある
- 分筆後の土地が0.01㎡未満になる
事前に土地家屋調査士や自治体に確認しておきましょう。
注意点3:接する道路が公道か私道か
土地が接している道路が公道なのか私道なのかも重要なポイントです。
私道の場合、通行権の確保が必要になります。
分筆して売却後、買主様がその私道を通行できないとなるとトラブルの原因となります。
私道の場合は、通行権について法的に確認・整理しておくことが大切です。
注意点4:土地の形状が複雑にならないか
分筆によって土地の形状が複雑になると、利用価値が下がることがあります。
例えば「旗竿地」と呼ばれる道路へのアクセス部分が細長くなった形状の土地は、建築面積が制限されたり、将来的な売却が難しくなったりする可能性があります。
できるだけ整形地になるよう分筆プランを検討しましょう。
土地の一部を売るなら分筆するのがおすすめ
土地の一部を売る際には、分筆という手続きを経るのが一般的です。
分筆することで法律的に独立した別々の土地として売買が可能になり、売却がスムーズになります。
分筆の手続きは専門的な知識が必要なため、土地家屋調査士などの専門家に依頼しましょう。
大まかな流れは、専門家への相談→分筆プランの決定→境界確認と測量→分筆登記申請→売却活動開始です。
分筆する際には、接道義務や土地の形状、道路状況など、さまざまな要素に注意が必要です。
これらを考慮せずに分筆すると、土地の価値が大きく下がったり、将来的なトラブルの原因になったりする可能性があります。
専門家のアドバイスを受けながら、最適な分筆プランを立て、スムーズな土地売却を実現しましょう。
適切な分筆計画は、土地の活用価値を最大化し、満足のいく取引につながります。
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