こんにちは。郡山市の不動産会社「アイエス宅建」の鈴木です。
不動産売却による税金を計算する際に必要な「取得費」。
しかし、資料を紛失してしまったり、不動産が古すぎたりして、取得費が不明の場合もあるでしょう。
取得費が分からなくても、計算する方法があるのでご安心ください。
今回のコラムでは、不動産売却で取得費不明の計算方法をご紹介します。
取得費の対応やその場合の注意点など、ぜひチェックしてください。
不動産売却における取得費とは?
不動産売却における「取得費」とは、その不動産を取得するためにかかった費用のことを指します。
取得費は、不動産を売却したときの利益である「譲渡所得」や、それにかかる税金「譲渡所得税」を計算するために必要な項目です。
取得費に該当するもの
具体的には以下のような費用が取得費に該当します。
- 物件の購入代金
- 建築費用(新築の場合)
- 購入手数料(仲介手数料など)
- 登記費用(登録免許税など)
- 不動産取得税
- 印紙税
- 土地の測量費用
- 土地の造成費用
- 一定期間の借入金利息
- 立退料(借主がいる土地・建物を購入した場合)
- 訴訟費用(相続財産の分割時など) など
なお、不動産のうち建物については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額が取得費となります。
譲渡所得と譲渡所得税の計算
取得費を用いた、譲渡所得と譲渡所得税額の計算式は以下の通りです。
- 譲渡所得 = 売却代金 -(取得費 + 譲渡費用)
- 譲渡所得税 = 課税譲渡所得額 × 税率
取得費として譲渡所得の計算に入れるには、不動産購入時の「売買契約書」や、手数料支払い時の領収書など、金額を証明する書類などが必要です。
譲渡所得税の計算方法や申告方法はこちらのコラムで詳しくご紹介しています。
不動産売却で取得費不明のケースの計算方法
不動産売却時に取得費を算出しようにも、「取得費がわからない」というケースもあります。
領収書などの書類を紛失したほか、先祖代々からの相続物件で昔の資料が残っていないケースなどもよくみられます。
特に相続物件の場合、「物件の購入代金」は、時価ではなく「被相続人が購入した金額」となります。
購入時期が何十年も前だったり被相続人が亡くなっていたりして、取得費が分からないことも多いのです。
しかし、取得費が不明でも、取得費を算出して譲渡所得・譲渡所得税を計算する方法があります。
以下にその方法を詳しく解説します。
概算取得費を利用して計算する
実際の取得費が分からないときに、売却価格の5%を取得費として計算する方法です。
例えば、不動産の売却代金が4,000万円なら、4,000万円 × 5%で概算取得費は200万円。
この場合の譲渡所得は、4,000万円-(200万円+ 譲渡費用)で計算できます。
仮に、実際の取得費が売却代金の5%以下だったであろう場合でも、5%を取得費として使用できます。
ただし、一般的には概算取得費は実際の取得費よりも低額になる傾向があるため、譲渡所得税が本来の税額よりも高額になりやすいというデメリットがあります。
取得費を推定して計算する
土地と建物の取得費をそれぞれ推定して算出し、それを使って計算する方法です。
土地の取得費の推定方法
土地の取得費の推定には、一般財団法人日本不動産研究所の「市街地価格指数」を使用します。
これは、市街地の宅地価格の変動を表す指標で、この指数と現在の売却価額(時価)を基に、取得時の地価を推定します。
なお、「市街地価格指数」を使った土地の推定取得費は、必ず認められるとは限らないことにご注意を。
「推定した取得費に合理性がない」と判断された場合は、推定取得費が認められない場合もあります。
「市街地価格指数」を使って土地の取得費を推定するには、少なくとも以下の条件が必要といわれています。
- 購入価格を証明する資料がない
- 対象不動産の取得時の地目が宅地である
- 対象不動産の路線価・公示地価が市街地価格指数と同じ水準で推移している
建物の取得費の推定方法
建物の取得費の推定には、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」を使用します。
この表には建築年ごと・構造ごとの建築価額(単位:千円/㎡)が記載されており、単価に建物の延べ床面積をかけたものが建物の取得費の推定値となります。
不動産売却で取得費が不明なときの注意点
不動産売却時に取得費が不明でも、概算取得費や推定値を使って譲渡所得や譲渡所得税を計算できます。
しかし、取得費の計算方法によって譲渡所得額が変わり、最終的な税額が変わる可能性があるため注意が必要です。
概算取得費は売却価格の5%と、実際の取得費よりも低くなる傾向があります。
そのため、結果的に譲渡所得税額が高くなる可能性があります。
新築に近い物件なら、おそらく「市街地価格指数」や「建物の標準的な建築価額表」による推定値を使ったほうが、譲渡所得税額は抑えられるでしょう。
しかし、古い物件の場合は、経過年数に応じた減価償却で取得費が下がるので、概算取得費を使ったほうが、譲渡所得税が低くなる可能性があります。
取得費が不明な場合には、どちらの計算方法が節税になるのか、不動産会社や税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
概算取得費で譲渡所得税を計算・申告したあとに「別の計算方法にすれば良かった!」ということがあっても、更正の請求はできない可能性が高いです。
不動産売却の取得費が不明の際は概算取得費や推定値で計算可能
不動産売却の譲渡所得税の計算に必要な「取得費」が不明な場合、概算取得費や推定値を使用して計算することができます。
取得費が分からないケースは、書類の紛失や相続した古い物件などでよく見られます。
概算取得費は売却価格の5%を使用するもので、実際の取得費より低くなることが多く、譲渡所得税が本来よりも高額になる可能性があります。
一方、推定値は「市街地価格指数」や「建物の標準的な建築価額表」を使って土地や建物の取得費を推定するものですが、推定値は必ず認められるとは限りません。
不動産売却で取得費が不明な場合、どの方法で計算するのが最適かは専門家に相談することをおすすめします。
郡山市で不動産売却をお考えなら、アイエス宅建にご相談ください。
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