こんにちは。郡山市の不動産会社「アイエスホールディングス」の鈴木です。
不動産を相続したいと考えたとき、先に売却をして現金を相続するべきか、不動産自体を相続するか、迷うところですよね。
どちらがお得なのか、損をする部分はあるのかなど、事前に詳しく知っておくと不動産会社に相談する際にも役立ちます。
今回は、不動産を相続前・相続後に売却するメリット・デメリットをそれぞれご紹介します。
相続後の不動産売却で知っておきたいことや、不動産売却は相続前・相続後どちらが良いか判断する基準についてもお話ししていきますので、ぜひ参考にしてくださいね!
不動産を【相続前】に売却するメリット・デメリット
不動産を相続する前に売って現金化し、その現金を相続するケースでは、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
さっそく、ご紹介していきます。
不動産を相続前に売却するメリット
不動産売却を相続前にするメリットは以下のとおりです。
相続人が複数の場合に遺産分割がしやすい
相続人が複数人いる場合、遺産分割をめぐってトラブルになったり、争いが起きることも。
相続前に売却して現金にしておくと、後々の相続時に遺産分割が楽になり、公平な遺産分割が可能です。
3,000万円の特別控除が受けられる場合がある
生前に自宅を売却した場合、条件を満たすことで3,000万円の特別控除が受けられる場合があります。
これを「マイホームを売ったときの特例」といいます。
不動産を売却すると譲渡所得税がかかりますが、自宅として住んでいた物件なら譲渡所得から最高3,000万円が控除されるので、譲渡所得税の金額を抑えられます。
場合によっては譲渡所得税がかからないケースもあるでしょう。
ただし、この特例を受けることだけを目的に入居した物件や、別荘などは適用除外となるので注意してくださいね。
10年超の長期所有の場合軽減税率の適用がある
住んでいた自宅を売却して条件に当てはまると、長期譲渡所得の税額を通常よりも低い税率で計算できる軽減税率の適用を受けることが可能です。
これを「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」といいます。
10年を超えて所有しているなどの条件に当てはまっていると、6,000万円以下の課税税率が14.21%(所得税10.21%、住民税4%)になります(6,000万円以上の部分は長期譲渡所得の税率=所得税15.315%・住民税5%が適用になります)。
10年以上住んでいる自宅がある方は検討してみるのも良いでしょう。
そのほかのメリットとして、売却金を不動産所有者の老人ホームの入居費や介護の資金など老後の資金に充てられることも挙げられます。
不動産を相続前に売却するデメリット
不動産売却を相続前にするデメリットは以下のとおりです。
相続税が多くなる可能性がある
現金であればその額がそのまま課税評価額になりますが、土地は路線価、建物は固定資産税評価額が基準になります。
路線価は地価公示価格等の80%、固定資産税評価額は70%ほどを目安とするので、現金で相続すると相続税が多くかかる可能性が高いです。
売却で利益が出た場合に譲渡所得税がかかる可能性がある
不動産売却で利益が出た場合は、譲渡所得税がかかってしまう可能性があります。
ただし、先ほど説明したマイホームを売ったときの特例やマイホームを売ったときの軽減税率の特例の適用対象になっている物件なら、譲渡所得税は抑えられます。
不動産を【相続後】に売却するメリット・デメリット
不動産をそのまま相続してから、相続後に売却する場合のメリット・デメリットもお伝えします。
不動産を相続後に売却するメリット
不動産売却を相続後にするメリットは以下のとおりです。
現金で相続するより相続税を抑えられる
不動産を相続する際は相続税がかかります。
相続前に売却するデメリットでお伝えしたように、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価するため、現金で相続した場合よりも相続税評価額が低くなります。
空き家の特例が適用される場合がある
相続した空き家を売却する際、一定の条件に当てはまると「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が適用され、譲渡所得の金額から最高3,000万円までの控除を受けられます。
ただし、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物であること、相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったことなどの条件があります。
相続税の取得加算の特例対象になる
相続開始から3年10カ月以内(相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年以内)に対象の不動産を売却した場合、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が対象になります。
譲渡所得の計算において、支払った相続税の中でその不動産にかかる相続税を取得費として加算できます。
取得費として加算できれば、譲渡所得税の節税につながります。
小規模宅地等の特例が適用される場合がある
被相続人と一緒に住んでいた土地を相続した場合、一定の面積までの相続評価格を最大80%まで減額するというという特例です。
被相続人の配偶者や同居人が土地を相続していることなどの条件はありますが、大きなメリットといえるでしょう。
不動産を相続後に売却するデメリット
不動産売却を相続後に行うデメリットは以下のとおりです。
相続人が複数の場合に手続きが複雑になる・分割で揉める可能性がある
相続人が複数人いるときは、手続きが複雑になったり、意見がまとまらずに難航する場合があります。
例えば、売却をしたくても、相続人の中で売却したくない方がいる可能性もあります。
複数の相続人で共有財産として不動産を共有していると、1人でも反対の方がいれば不動産売却はできません。
足並みが揃わない場合は相続に時間がかかってしまうでしょう。
売却活動に時間が取れず相場より安く売却することになる可能性がある
相続税の申告期限は相続開始から10カ月以内。
不動産の売却金を相続税の納税に充てたい場合、限られた期間内で売却を決めなければならず、納得のいく金額での価格交渉が難しい可能性があります。
結果、相場より安く売却することになるリスクもあります。
不動産売却を名義人以外の方が行う場合は、「不動産売却を名義人以外が行う方法は?名義変更の流れも解説」も参考にしてください。
相続後の不動産売却で知っておきたいこと
相続後に不動産売却をする場合の流れや注意するべき点も事前に知っておくと安心です。
売却するまでの手順から相続登記の流れ・必要書類、売却の注意点についてご紹介します。
売却の手順
相続後の不動産売却はこのような手順になります。
- 相続の発生
- 遺言の確認や遺産分割協議
- 名義変更(法務省への相続登記)
- 不動産会社へ査定を依頼
- 買主との売買契約締結
- 不動産引き渡し・決算
相続登記の流れ・必要書類
相続する不動産の名義変更を行う「相続登記」の流れは、以下のとおりです。
- 相続する不動産の確認
- 遺言や遺産分割協議で不動産を引き継ぐ人を決定
- 相続登記に必要な書類を準備
- 法務局へ申請
不動産を相続する方が決定したら、その方が書類の準備を行います。
基本の必要書類は以下のとおりです。
- 登記申請書
- 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本・住民票
- 固定資産評価証明書
- 収入印紙
ただし、相続方法によって追加される書類があります。
遺産分割協議によって相続する場合は「遺産分割協議書」と「相続人の印鑑証明書」が必要となり、遺言によって法定相続人が相続する場合は「遺言書」が必要です。
売却の際の注意点
不動産売却でかかる譲渡所得税は、不動産の所得によって税率が変わります。
5年以内だと短期所有となり譲渡所得税率39.63%ですが、5年以上だと長期所有で税率は20.315%です。
不動産の所有期間は不動産を取得した日から不動産を売却した年の1月1日までの期間となりますが、相続した不動産の場合は、亡くなった方がその不動産を所有していた期間も含まれます。
例えば、親が10年住んでいた不動産を相続した場合は、すぐに売却をした場合でも長期所有に当てはまります。
不動産売却は相続前・相続後、どちらを選ぶ?
相続前に売却して現金化したほうが良いか、相続後売却したほうが良いかは、何を重視するか・どのような状況かによって変わります。
相続前の売却・相続後の売却、それぞれがおすすめのケースをご紹介します。
相続前の不動産売却がおすすめの場合
不動産所有者の介護資金や老人ホームなどの入居費に充てたい場合は、相続前の不動産売却がおすすめです。
また、遺産分割が難しく、遺言書を用意していてもトラブルが起きそうと不動産所有者が感じるなら、事前に不動産売却をして分けやすい現金にしておく方がスムーズです。
相続後の不動産売却がおすすめの場合
不動産で相続する方が相続税が抑えられたり、さまざまな特例も活用できるので、税金面の負担を抑えたいなら相続後の不動産売却がおすすめです。
また、不動産所有者本人がその土地や建物に思い入れがあり、不動産売却する意思がないときも、相続後に売却を考えるほうが良いでしょう。
不動産売却は相続前・相続後それぞれのケースによって判断を
不動産売却を相続前にするメリットは、相続人が複数の場合に遺産分割がしやすい、特別控除が受けられる場合があるなどです。
デメリットとしては、不動産が高く売れると相続税も高くなってしまうなどが挙げられます。
一方、不動産売却を相続後にするメリットは、現金で相続するより相続税を抑えられたり、さまざまな特例が受けられる点。
デメリットは、相続人が複数人いるときは手続きが複雑になったり売却が難航したりする可能性があったり、売却金を納税資金にしたい場合には、売却期間が十分に取れず、納得のいかない価格のまま売却せざるを得ないこともある…という点です。
不動産所有者の介護資金に充てたい方や、遺産分割が難航しそうと感じている方は、相続前の不動産売却がおすすめといえます。
一方、税金を抑えたい場合は相続後の不動産売却がおすすめです。
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