こんにちは。郡山市の不動産会社「アイエスホールディングス」の鈴木です。
実家の空き家など活用予定のない家は「管理できないので相続放棄したい!」と考える人もいるでしょう。
しかし、相続人が自分しかいない場合や、 相続人全員が相続放棄してしまう場合、管理は誰が行うのでしょうか?
実は、全員が相続放棄をしたとしても、空き家の管理をせずに放置することはできません。
今回のコラムでは、空き家を相続放棄したあとの管理責任の行方について解説。
空き家を適切に管理する必要性や注意点などもあわせてお伝えします。
空き家の相続放棄とは?相続放棄の注意点も
相続放棄とは、遺産を相続する権利を放棄することです。
「空き家だけ相続放棄する」ということはできず、相続放棄をするなら空き家を含め、そのほかの不動産や預貯金、資産など、全ての財産を放棄することになります。
相続放棄は相続開始から3カ月以内に、家庭裁判所へ申請が必要です。
それ以前に財産を処分したり使ったりすると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなるので注意しましょう。
また、空き家の相続放棄を考えている場合は、その管理や金銭面でのトラブルを避けるためにも、そのほかの相続人である親族へも事前に伝えておく必要があります。
不動産を相続する場合に必要な手続きや諸々の期限はこちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
不動産相続の手続き期限はいつまで?流れや必要書類、費用も解説
空き家の相続放棄後も管理責任は残る
相続人が自分一人で相続放棄したら、または相続人全員が相続放棄したら、空き家の管理責任はどうなるのでしょう?
実は、全員が相続放棄をして、誰も空き家を管理せずに放置するという状態にはできません。
詳細は後述しますが、ボロボロの空き家がそのまま放置されていては、さまざまなトラブルの元になってしまうからです。
そのため、空き家の相続放棄をした場合でも、相続人に管理責任が残り、適切な管理をする必要があります。
相続人に残る管理責任については、2023年4月1日施行の改正民法にて具体的な内容や要件が追加になりました。
第九百四十条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
改正前の民法では、相続人全員が相続放棄をしたとき、その中の誰に管理責任が残るかは明確ではありませんでした。
今回の法改正では「相続の放棄をしたものは、~~財産を現に占有しているときは」という文言が追加に。
例えば、その家に一緒に住んでいた相続人などが該当します。
管理については「保存」という文言になっており、財産を壊さずに現状維持することを指しています。
相続放棄した空き家の管理責任はいつまで?
空き家の管理責任は、次の管理者に引き継ぐまで続きます。
相続放棄をしていないほかの相続人がいるならそちらへ、ほかに相続人がいない場合は家庭裁判所で「相続財産管理人」を選任しそちらへ引き渡します。
空き家を適切に管理する人が決まれば、相続放棄した空き家の管理責任はなくなります。
空き家をきちんと管理しない場合のリスク
活用予定のない空き家だからといって、適切に管理せず朽ちるまで放置しておくわけにはいきません。
空き家を管理せずに放置するとこんなリスクがあります。
損害賠償請求の恐れ
ボロボロになった屋根や壁が崩れて通行人にケガをさせ、損害賠償を請求される恐れがあります。
そのため、たとえ住んでいなくても必要最低限の修繕が必要です。
台風や大雨の予報が出ているときは特に注意してください。
犯罪やトラブルに巻き込まれる恐れ
人の出入りがないことが明らかだと、不審者が住み着いたり、犯罪の拠点として使われたりする恐れがあります。
放火などのリスクも考えられます。
固定資産税がアップする恐れ
家を適切に管理せずボロボロのままにしていると、行政から「特定空き家」に指定される可能性があります。
特定空き家に指定されると固定資産税の軽減措置対象から外され、土地の固定資産税が高くなってしまいます。
相続した空き家を手放す方法
相続した空き家を手放す方法は相続放棄以外にもあります。
代表的なものをご紹介しますので、ぜひこちらも検討してみてください。
売却する
通常の空き家の売却のほかに、古家付き土地や更地として売却する方法があります。
不動産会社に直接買い取ってもらう不動産買取という方法では、仲介で購入希望者を探す必要がないので、買い手が付きにくい古い空き家も売りやすいです。
寄付する
国や自治体、法人などに寄付する方法です。
どんな空き家でも寄付できるわけではありませんが、活用できる建物や土地は寄付できる可能性もあります。
空き家を相続しても管理責任が残ることがある!処分方法を知ろう
使わない空き家を相続放棄しても、相続人が自分しかいない場合や相続人全員が相続放棄した場合は、管理責任が残ることがあります。
空き家を管理する相続放棄していない相続人へ、または「相続財産管理人」へ引き渡すまで管理責任は続きます。
相続財産の中から空き家だけを相続放棄することはできません。
空き家を適切に管理していないと、損害賠償やトラブルにつながったり「特定空き家」に指定されて固定資産税が高くなったりするリスクがあり、使わないなら早めに処分するのが得策。
相続放棄以外に、売却や寄付による処分なども検討してみましょう。
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